すぐに伝えたい!話したい!

 

何かを誰かに伝えたいなら、相手に直接話すのが早い。しかし、相手が近くにいなければ、直接話して伝えることはできない。たとえ相手が見えるところにいるとしても、お互いの声が届くのは200〜300メートルくらいが限度だろう。話したいことがあるのに、相手がどこにいるかわからないときもある。そのようなとき、よく使われているのが「テレフォン(電話)」だ。

すぐに伝えたいなら電話の他にもあるではないかと思うかもしれないが、それらによって伝えられる速さも、電話の技術と同じように、「電気」や「電波」が速く伝わるのを利用して効率的に「情報」を伝える技術によるものだ。人間の「声」を伝えることができる電話の技術が発展してきたことと、人間にとって意味のある情報をすぐに伝えることができる技術があることの間には、とても深いつながりがある。

今では、「電話」というと、一対一の間の「通話」のことのようだが、もともと「テレフォン」とは、「ことば」や「音楽」を伝えることができる技術のことを意味していた。「ラジオ」もその一つで、テレフォンは「声」を伝える技術のあらゆる可能性を含んでいたのだ。それは、「声」を伝えようとしたテレフォンからいろんな技術が生まれてきた歴史があることを示している。すぐに伝達することや、同時に体験するということを、いろんな「音声」をきかせることによって実現してきたのだ。

たとえば、「話す」ということをよく考えてみよう。声が伝えられるのがほんの少しでも遅れると、うまくやりとりすることができなくなる。音が伝わってきたとしても、「ことば」としてきこえないかもしれない。また、声を含めた「音」という聴覚的な現象は、すぐに消え去ってしまうから、よくきこえなかったり、ききのがしてしてしまったりすると、もう二度ときくことはできない。音がきこえているその間に、ちゃんとききとらないと、「ことば」としてはわからない。録音されている音声でも、実際の長さに近い時間をかけてきかなければ、どのような音声であるのかはわからない。「ことば」や「音楽」としてわかるというのは、その音がきこえている間に、同時にやらないとできないことなのだ。

つまり、「声」を伝えるというのは、「ことば」、「知り合いかどうか」、「何が起きているのか」などが、音をきいてすぐにわかるようにすることで、それによって話すことができるような、「ライブ」で同時に起こるような出来事なのだ。

「声」がきこえるとき、それは、空気で「声」が伝わるときでも、音を伝えるものや機械だけで起きているのではない。人と人の間で、それらが音を伝える「媒体(ばいたい)」として利用されているときに、「声」がすぐに伝わるという生々しいことが起きる。

今の時代、いろんな伝達の手段があるが、結局、話して伝えようとすることがよくある。なぜ、声で伝えたいのか、じっくり読みながら考えてみよう。

 

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「テレフォン(電話)」を発明したベル ラジオをやっているところ